ー話すー


Ⅰメッセージ / JTC・Iメッセージ
 



ある晴れた日の昼間のことです。
ある家のリビングに旦那さんと奥さんが、L字型のローソファーで二人くつろいでいます。
お仕事は休みなのでしょうか。旦那さんはローソファーに横になりTVを眺めています。
奥さんはその斜めに座り編み物をしています。編んでいるのはセーターでしょうか。
「6,7,8……」
かすかな声で網目の数をつぶやきながら、毛糸に引っ掛けるように編み棒で絡ませ編んでいます。

一方旦那さんはTV画面を見つめながら、しきりに「よしっ!」「ここは送りバントだな」
「何でストライクが入らないんだ? 〇〇か。」などと独り言を言っています。
観ている番組はプロ野球のようです。
「何とか0点に抑えたし、流れが来るな。」
観客がざわめく中、メロディーが流れ始める。 応援歌のようです。
「げーんかい灘の しーおかぁぜにー きぃたえっしつっばぁさー たくぅましぃくー」
旦那さんはリズムに乗って歌い始めました。 ノリに乗ってます。

オリジナルのアクセントをつけた声は、歌というより鶏が絞められる最後の絶叫のようです。


「……19,20…21……ここはいくつまでだっけ……」
奥さんは眉間に皺を寄せ、腹立たしげにつぶやいています。
旦那さんの歌声で編み物に集中できず、網目の数も解らなくなるので困っているようです。
「われらぁの われらのぉ ソフトバンクほぉくすぅ ――――――あつおぉぉ」
……お酒は呑んでないはずです。
「はてぇしないだんどーそらへーはなちー……」
気持ち良さそうにメロディと合わなくても歌いづづける旦那さんの顔を、奥さんはにらんでいます。
ちなみに奥さんがマリーンズファンかどうかは謎です。



……調子に乗りました。
前振りが長くなりました。本題に戻ります。

上の例のように、家族や職場、お友達といっしょにいる時などで、

何かを必要な事や大変なことなどがあって
その大変さ辛さなどといった気持ちや考えを相手に伝えたい時や、
それで何かしてもらいたい時、逆に何か止めてもらいたい時など、
自分の方に何らかの問題があって相手に何かを伝えたい時

があるかと思います。


そのような時に、話す相手に受け入れやすく、

相手からの協力もしてもらいやすくする話し方があります。
Ⅰメッセージ』と『JTC・Iメッセージ』です。



まず一つ目のIメッセージとは、

相手に自分の気持ちや考えを正確に伝えることができる自己表現法で、

特徴として下に記したようなものがあります。

 

 
〇 伝えたい相手に対して良いか悪いか判断の評価したりけなしたりもせずに、
  『自分はこう思う』という自らの気持ちを表現できます
〇 相手の言動の良し悪しを評価しませんので、相手も話す内容を受け入れやすいのです。
〇 自分の気持ちを相手にも理解しやすくなります
〇 自らの気持ちを素直に表しますので、相手も心を開きやすくなります

 


Iメッセージは3つのパートから構成されます。

言いたい相手の言動+②自分への影響+③自分の感情

例としてはこのようなものです。

 


大きな声で歌うと、編むのに集中出来ず網目の数が解らなくなるので、困ります。

……夫婦でしたらこんな敬語は使わないですね(苦笑)


この用事をお願いされても、時間と手間がかかりますので、私にはしんどく苦しくなります。

代金がこっちに届いておりませんので、生活するお金がなくて、辛いです。

酔って寝てる間に顔に落書きされると、帰る時に通りすがりの人たちに可笑しく思われるので、

恥ずかしいし嫌です。


これを作る際の注意点としましては次のようなものがあります。


まず①の相手の言動を述べる時は、批判すること無く、

なじって責めたり非難にならないよう、事実をありのまま伝えてください。


②の自分への影響を述べる時は、どんな影響が直接自分にあるのかを述べてください。


③の自分の感情を述べる時は、その時感じているありのままの素直な感情、本音を述べてください。


ただ今回の例のように、怒りや憎しみなど

相手にぶつけ攻撃したくなるような感情を感じるがあると思います。
そのような感情を感じた時は、それを伝える前に

ひと呼吸おいて、自分自身のお気持ちを見つめてみてください
怒りや憎しみなどを感じられる前に、

相手からの振る舞いや言動そのものによって自分自身が影響を受け
最初に反応し感じた不快や驚き、悲しみなどといった感情があると思います。
この例でしたら『困る』でしょうか。
そちらを伝えてみてください。


ちなみに相手に間違いや問題の原因があるとみなして、批判するような伝え方を

Youメッセージ』と言います。

例としては下記のような感じです。


下手クソな歌を歌いやがってやかましいんだよ。

あなたのお陰で余計な仕事を増えました。


怒ったり責めたりしたい時にはこういった言い方になりやすいので、注意が必要です。
 

また使う際の注意点としましては、

伝える相手から見て、自分に相手の言動が

明らかに影響を与えていると判断できるものの時に使ってください。
そうでないと、例えば「おめーにはかんけーねぇだろ」とか

「勝手に首を突っ込んできて、何文句言ってるんだ」などと言われてしまうように、
当事者ではなく無関係な第三者が、自らの意志で勝手に関わって

嫌な思いをしていると捉えられ問題が起こる恐れがあります

それと相手がその行動を続けて行わなければならないほどの、

強い欲求に従った行動をしていない時に行ってください。
例えば家に帰ってきた子供に「玄関に靴をそろえず脱ぎっ放しのままだと、後で私が並べ直さなくっちゃいけないから困るわ」と、おっしゃたとします。
でもその子供が強い便意に襲われていて今すぐにトイレに駆け込みたいのだとしましたら、

このIメッセージの効果は余りありません。
この場合でしたら、用を済ませた後にこれを伝えた方が良いでしょう。
 
 
そして二つ目のものとしてJTC・Iメッセージがあります。
この名前は自分が以前学んでいた専門学校の通称で、当時これを教えてくれた先生が、

この名前を言うのは何か恥ずかしいようなことを言っていました。
……これは余談ですね(笑)


この特徴としましては下記の物があります。

 

〇 相手に対して自分が希望している行為が、具体化されて相手に伝わります。
〇 相手への負担が少ないので、相手からの手助けをより受けやすいです。

 

 

自分も私生活ではこのJTC・Iメッセージを結構使っております。
 

 

構成としては

相手に希望・期待する行動+②自分への影響

+③その影響によって自分がどう感じるか

 

 

です。
例としてはこのような感じです。


騒がずにTVを観てくれると、編むのに集中出来るので、助かります。

この作業をしていただくと、私の負担が軽くなりますので、有難いです。

食後にプリンを用意してくれると、私の大好物ですので、嬉しいです。

その場で動かずにいてくれると、人質の女性を撃たずに済みますので、有難いです。


この特徴としましては、相手への負担が軽いので協力や支援をしてもらいやすいことと、
Iメッセージと比べて相手に期待している行為を具体的に伝えられるところです。

注意点としましては、Iメッセージで記したものの他に、

相手に対して行動の一例を表し求める形になりますので、
命令や無理強いにならないよう気を付けて下さい
それとやはり、自分が困っているときにこれを伝えると、

相手も受け入れやすく支援してもらいやすくなります。



これら二つのメッセージを伝える時は、

相手を自分の思うように変えるのではなく
相手に自分の思いを理解してもらう意識を持つことが大切です。


自分自身に様々な思いや都合があるように、相手にも様々な思いや都合があります。
相手の言動にも何らかの意図や理由があるのです。


他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えられます。
私は昔そう教わりました。
 
 
これらを踏まえて、IメッセージやJTC・Iメッセージを使っていただき
より素晴らしい日常生活を送っていただけると、

私もこれを書いた意義がありますので嬉しく感じます。

(↑ JTC・Iメッセージの使用例)




参考文献
斉木桂子(2007)『心理カウンセラー養成講座』テキスト 日本総合カウンセリング.
『コミュニケーション講座』テキスト 日本総合カウンセリング.

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